「日替わり」サンプル

以下は「恋愛学習」部門における「日替わり毒舌太郎」のサンプルです。毎日更新しています。基本的に、クイズ形式で問題文があり、正解の解説とともに深いテーマが書かれています。


【問題文】

内容の難しさ:★★★

今日のテーマは後で説明しよう。

とある女は、彼氏がいるが、いろいろな男と性的な関係を持っており、5股のような状態になっている。彼女はあまり家庭環境が盤石ではなく荒れていたので、早く家を出たかったこともあり、18歳からすぐキャバクラで働いて大学にも通いながら自費で生活していた。彼女にとって彼氏はとても大切だったのだが、浮気をやめる気にはならなかったし、彼女は喧嘩になるとすぐ「私のこと嫌いなら別れればいいでしょ」などと投げやりなことも言っていて、そのたびに彼氏と激しい喧嘩になっていたのであった。

さて問題。これについておよそ妥当なことを言っているものを一つ選んでくれ。

【選択肢】

◆彼女は刺激に飢えていると言える
◆彼女はキャバクラで純粋さをなくしたと言える
◆彼女は彼氏を信じきれないでいる

【正解】

彼女は彼氏を信じきれないでいる

【解説】

これが正解。

家庭の問題と絡んできているが、少し想像してみてほしい。盤石な家庭に育った人はなかなか分からないかもしれないが、例えばいつも何気なく帰っている家が、できるだけ帰りたくない場所だとしたらどうか。例えば親戚の家に預けられるなどを転々としていて、地元の友達というのもできにくく、出身地というのも曖昧だったらどうか。例えばまだ18歳なのに、キャバクラで働いて一人で暮らし、「そんな生活に疲れてもやめることなどできない」という状態で生きていくとしたらどうか。

問題文の彼女やここで例に挙げたような生き方をしていると、自分がどこに根を下ろしているのか、自分がどこに属しているのか、「確固たる居場所」が分からなくなる。根なし草な感じがする。これは想像以上に精神的につらいものだし、普通に生きている人は、自分がいかに「属している」という感覚に助けられているかもなかなか気付けない。例えば東京に出て仕事していてしんどくなっても故郷には自分を迎えてくれる家族がいる、ということがいかに東京での自立を助けているか想像できるだろうか。所属欲求と言うと味気ないが、みんな心にホームを求めていて、それが満たされないとなかなか心が穏やかになれないのである。

本筋ではない前置きが長くなったが、問題文の彼女はおそらく「根なし草」な感じを持っていて、自分がしっかりしなければと思っているものの無意識には「甘えたい。心のホームがほしい」と感じていることだろう。それはもう、優しい彼氏がほしいとかそんな生易しいレベルではなくて、人生を賭して「ほしい」と願うものでもあろう。そんなに強い願望を持つとき、どう出てしまうのか、そんな話が今日のテーマだ。

今日のテーマは「熱望」だ。

人生を賭しても「ほしい」と願うことを持っているとき、人はその欲求に素直に進んでいくのが怖くなる。いや、その欲求に気付くことだけでも怖いし、それを願ってしまう自分が怖い。普通に考えれば「必死に努力したらいいじゃないか」で済みそうだが、そうもいかない。本当に本当にそれを欲しいと願ってしまったら、どうなってしまうか分からないし、自分が崩れてしまってズタボロになりそうだし、期待が裏切られたときにはひどく傷つくから。だからどうしてもどうしてもどうしても欲しい「ホーム」というものを、問題文の彼女は、あえて願わないようにしている。彼氏にそれを期待するのが怖いから。

なお、熱望も度を越せば、彼氏彼女をつくることすら怖い人もいるだろう。自分の欲求に気付きたくなくて、軽い関係で疑似的に満たしながら、妻子持ちなどの相手を選ぶ人もいる。女を次々と食って特定の彼女をつくらない男というのも、そういう人は少なくない。性行為は熱烈で愛情をものすごく感じるだけでなく強く気持ちがやってくる感じがするのに、いざ告白するとNOなのである。そんな男を無意識がほっとけなくて、セフレになってしまう人もいる。

問題文の彼女の5股というのも、彼氏に熱望しないようブレーキをかけているという意味もあるし、そうやって心を逃がしながら無意識に彼氏を不安にさせては、彼氏が「確固たる存在なのか」と確認作業をしている意味もある。わがまま言ったり振り回したり、自分は最悪な女だからほっといてと言ったり、ときに精神状態によっては「私が浮気してたらどうする?」などと聞いては「別れるだろうなぁ」などと言われると「所詮はそこまでの関係だよね」と言ってみたりして、彼氏という存在の「強度」を確かめていく。石橋を、結構巨大なハンマーで叩いてみる。そのハンマーの大きさこそ、自分が熱望する「確固たる居場所」への思いの強さであり、同時にそこへの不信感の強さでもある。そして、だいたいは、その石橋は叩き過ぎて壊れる。壊れると「やっぱりな」と思い、なぜか不思議とほっとするから、それは「壊れるのを確認したかった」と言うべきかもしれない。

傷をいっぱい抱えて、理不尽にワガママで、やけに嫉妬深くて、気分屋でころころ言うことが変わり、ラブラブかと思ったら超冷たいというようなことを繰り返す人をどう扱うべきか、ここから分かるだろう。そんなの相手してられないと思ったら大いに逃げたらいいと思うが、それが一生の相手だと思ったら、その人の奴隷になったりしてぐるんぐるんと振り回されるのでは駄目だ。「どうせ離れられないでしょ」と言わんばかりに悪魔になって、石橋を叩いてきても言うこともきかずただどっしり構えて、相手が「これは堅い石橋だ!」と信じるのを待つのが一つ(そういう悪魔になれそうな人を不思議と恋人に選んでいたりする)。もう一つは、胸倉でも掴んで、「そんな試すようなことばっかりして、なんで私の気持ちが分からないの!ボケ!ヘタレ!」と強引にでも分からせてやることだ。どう考えても普通はヘコむだろと思うが、なぜか相手は心がすっきりしたりして、そんなこんなを繰り返して何年か経つと落ち着いたりする。

やや話がそれたが、今日は「熱望」していることこそ素直に願えない、ということを覚えておいてほしい。心の中に本当に本当に本当に強い衝動を持っているほど、普段は冷静だったりドライに見えたりもする。一旦スイッチが入ると周りが見えなくなるほどに暴走するから、それを恐れて、ドライなのである。人の心など表面だけでは分からないものだとつくづく思う。


※長い余談 「私は彼氏に対して何もしてあげられない。稼ぎもないし家事ぐらいはするけど年をとったら価値がない気がする。結婚して大丈夫か」などという相談を受けることがある。全く問題ない。その人と向き合おうという覚悟さえあれば、問題ない。女が家にいるのなら、そこにただホームをつくればいいだけだから。相手を宇宙に漂うただのチリにしないために、一つの杭を、そこに深く打ちつければいいだけだから。ただそばにいて相手の人生を見ているということが、いかに相手にとって大きいことか、その「結婚の神髄」にいずれ気付くだろう。そこにホームがあるから、男が外(社会)で戦うことができたりする。

こんな大事なことは、世界中の全員が気付いてほしいことではある。小手先の少子化対策より、まずは「愛」だろと毒舌太郎は思うのだが…。


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